#1 スギのはなし
木のはなし、第一弾は最も身近といっても過言ではないスギのおはなし。
基本的なこと
漢字名 | 杉 |
英名 | Japanese cedar |
学名 | Cryptomeria japonica |
分類 | Cupressaceae - Cryotimeria ヒノキ科-スギ属 |
スギは、日本固有の代表的な樹種のひとつです。
日本では、本州〜四国〜九州を経て、屋久島までが産地ですが、北海道でも植林地がありますから、ほとんど日本全国になります。
国内では、天然林は少なく、ほとんどが人の手によって植林された人工林で、人工林のおよそ45%(1)がスギになります。
各植林地の名前は頭につけて呼ばれることが多く、その中でも秋田杉、天竜杉、吉野杉、日田杉、飫肥杉(おびすぎ)、屋久杉などが有名です。
学名のCryptomeria japonica(クリプトメリア ジャポニカ)は、『日本の隠れた財産』という意味です。
命名者は、イギリスの植物学者であるDavid Don氏で、大変おしゃれな名前をつけてくれました。
スギの名の由来は諸説あるようですが一説には、その立ち姿がまっすぐであることから「直(す)ぐ木」が転じてスギと呼ばれるようになったそうです(2)。
分類学的には、スギ属は(Cryotimeria)1属1種の日本の固有種で、まさに日本の財産。
(2)について
江戸時代の学者 貝原 益軒が記した大和本草にスギの名前の由来に関する記述があります。
貝原益軒アーカイブとして、中村学園大学ホームページにて原文のスキャンを読むことができます。
気になる方はチェックしてみてください。
外部リンク https://www.nakamura-u.ac.jp/institute/media/library/kaibara/archive01.html
スギは、芯に近いところは赤く赤身と呼ばれ、辺縁は白からベージュで白太(しらた)と呼ばれます。スギは、キリやサワラなどの最軽量級の木材と比べると重いのですが、基本的には軽い部類の樹種です。ただ、スギの中でも芯材(赤身)は、辺材(白太)に比べて重く、ずっしりとしています。
建材として
木造住宅のなかでもっともポピュラーな木材といえばスギです。少し前までは一般住宅の柱や天井材などは、たいていスギと決まっていました。弊社の家づくりでも、構造材、下地材から造作材まであらゆるところに、スギを使っています。古来から多用されていたようで、弥生時代の代表的な遺跡『登呂遺跡』でも、柱や板にスギが使われていたようです。
曲げ輪っぱの原料に使われることでもわかるように、加工が容易な材料です。
赤身は、比較的耐水性もあるため、建材、内装・造作材、家具などのほか、雨戸などの建具や外装材にいたるまで多種多用に使用されてきました。昔はスギや焼きスギの板の外装の家が一般的で、いまでも地方では板壁にスギが使われているところを目にします。
▼過去の施工事例のブログ記事です。焼杉を実際に作って施工しました。
スギは樹齢が高く杢のあるものは貴重でとても高価ですが、一般的に入手しやすく扱われているクラスはとても安価で、木材業者の中では「一番安いのもスギ、一番高いのもスギ」と言われています。材の性質や樹齢によって価値がこれほど違う木はほかにないでしょう。とくに間伐材はきわめて安価なので、節さえ問題にしなければ費用を気にすることなく無垢の木のよさが楽しめます。
特徴としては、とにかく軽く、やわらかい点です。フローリングに使用するとほかの堅木との足ざわりの違いを感じることができます。一方で、その性質から傷がつきやすいというデメリットもあります。色味は前述の通り、製材直後は赤白が顕著です。赤白混ざった木材を源平材と呼んだりもします。部屋の仕上げ材として用いる際に色味の違いが気になる方もいらっしゃいますが、経年変化で日に焼けてくると赤白の差は目立たなくはなっていきます。
スギの使用例
naruco(サスティナライフ森の家社製)
杉の軽さを存分に活かしたイスです。
※エコロジーライフ花 取り扱い商品
スギの板壁(竣工当初)
竣工当初は、スギの若々しい色合いですが、年月を重ねるごとに日焼けし、落ち着いた色へ変化していきます。
※当社、施工事例
スギの板壁(経年変化)
日に焼けてくると色合いが茶色に近くなり、
塗装をしなくてもこれだけ濃い色へと変化します。
年をとってより魅力的になるのが自然素材のいいところです。
※当社、施工事例(『スギの板壁(竣工当初)』と同じ物件)
スギの洗面脱衣室
床壁天井すべてスギで作った洗面脱衣室です。
多湿になりやすい洗面脱衣室にスギを用いるとスギの吸放湿性の効果をより感じることができます。
※当社、施工事例
参考文献・サイト
(1) 林野庁 森林資源の現況(平成29年3月31日現在)より計算した
(2) 大和本草 巻之十一