#4 ケヤキのはなし
木のはなし、第4弾は日本の代表的な広葉樹の『ケヤキ』のはなしです。
基本的なこと
漢字名 | 欅 |
英名 | Japanese zelkova |
学名 | Zelkova serrata |
分類 | Ulmaceae - Zelkova ニレ科-ケヤキ属 |
日本を代表する木、ケヤキの特徴とは?
ケヤキは、枝が空に向かって大きく張り出すという立ち姿が最も印象的な特徴のひとつです。高さも、20メートル以上になる大木となるため、その大きく枝を張り出す樹形から街路樹や公園内でも存在感のある樹種の一つとなっています。また、枝が空に向かって大きく張り出しているため、広い範囲を覆うことができ、夏場には涼しい陰を作ってくれるのも魅力のひとつです。
環孔材の落葉広葉樹で、葉は大きく、緑色で光沢があり、果実や花は小さく、あまり目立たちません。ケヤキの樹皮は、成長に伴ってうろこ模様が目立ってきます。若木では比較的平らで細かな点がある程度ですが、木の成長に伴って、樹皮に割れ目ができてくることで、うろこ模様に見えてきます。
北海道を除く各地の山野や丘陵地に自生しているが、昔から社寺の境内や街路などにも植えられてきました。樹齢を重ねた大木は、日本全国で天然記念物として指定されています。京王線府中駅近くの大國魂神社から北にある参道「馬場大門のケヤキ並木」は、1924年に天然記念物に指定され、指定当初は幹の太さが3m以上の大木が60本以上も整然と並んでいたそうです。交通量の増加や老木化によりケヤキ並木の維持が難しくなっている中、地元では60年近くにわたり保全や環境整備を行っているそうです。
名称 | 所在地 | 種別 |
---|---|---|
東根の大ケヤキ | 山形県 | 特別天然記念物 |
文下のケヤキ | 山形県 | 天然記念物 |
高瀬の大木(ケヤキ) | 福島県 | 天然記念物 |
鵜川神社の大ケヤキ | 新潟県 | 天然記念物 |
原町の大ケヤキ | 群馬県 | 天然記念物 |
練馬白山神社の大ケヤキ | 東京都 | 天然記念物 |
馬場大門のケヤキ並木 | 東京都 | 天然記念物 |
御岳の神代ケヤキ | 東京都 | 天然記念物 |
専福寺の大ケヤキ | 福井県 | 天然記念物 |
上野原の大ケヤキ | 山梨県 | 天然記念物 |
根古屋神社の大ケヤキ | 山梨県 | 天然記念物 |
三恵の大ケヤキ | 山梨県 | 天然記念物 |
野間の大ケヤキ | 大阪府 | 天然記念物 |
八代の大ケヤキ | 兵庫県 | 天然記念物 |
竹の熊の大ケヤキ | 熊本県 | 天然記念物 |
下野八幡宮のケヤキ | 宮崎県 | 天然記念物 |
ケヤキの語源は?
一説によると、「けやけき木」の略で、「けやけき」は「際立って目立つ」「美しい」という意味があります。
「異(け)やけき木」→「けやけきき」→「けやけき」→「けやき」と変化したそうです。
建材として
ケヤキは木材として優れ、強靭で狂いが少なく耐久性や耐湿性、耐朽性にも優れています。また、木目が力強く美しく、色・ツヤ・木目といった見た目の良さがあり、磨くとツヤが出てきて非常に美しくなります。
一方で、個々の材質によって硬さに差があります。年輪が粗く重いものはとても硬い一方で、年輪が細かいものは柔らかく加工がしやすいといった特徴があります。また、老大木からは、伝統工芸作品などを作製する際に珍重される玉杢や牡丹杢などの杢(もく)が現れることもあります。正倉院に収蔵されていた宝物である「赤漆文欟木御厨子 (せきしつぶんかんぼくのおんずし)2」もケヤキの美しい杢を活かした品となっています。
<赤漆文欟木御厨子 について>
宮内庁のホームページよりデジタルアーカイブでどのような宝物か確認することができます。
木目の美しさをぜひ確認してみてください。
正倉院 - 赤漆文欟木御厨子 <外部リンク>
材としての格式の高さから、社寺建築に使われることも多いです。京都の寺には多くのケヤキ造りの建物があり、清水寺はその代表例の一つです3。清水寺の舞台を支える柱と貫はすべてケヤキでつくられているそうです。ほかにも、家具や楽器、道具類の柄など、用途は多岐にわたります。その美しさと耐久性から、様々な分野で使用されています。
ケヤキ使用例
参考文献・サイト
- 国指定文化財等データベースにより確認
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/index - 正倉院 - 赤漆文欟木御厨子
https://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures?id=0000010019&index=0 - 清水寺の舞台裏 - 清水寺の読み物 | 音羽山 清水寺
https://www.kiyomizudera.or.jp/read/清水寺の舞台裏