#2 戸建てリフォーム計画(内装編)

 戸建てリフォーム記事、第2弾は内装と設備についてです。前回の記事では、戸建てリフォームの工事規模に係るポイントについてご紹介しました。耐震改修や断熱改修を行う場合、雨漏れを起こしている場合は、リフォーム工事の規模も大きくなることをお伝えしました。大きな枠組みの方針がたったところで、次は内装や設備機器について、どのように計画を立てていけばいいのかという観点から考えていきます。それぞれの工事についての一般的なことと弊社の考え方をご紹介していきます。

▼前回の記事

#1 戸建てリフォーム計画の考え方

 築50年以上の木造2階戸建てのリフォーム現場が新しく始まりました。耐震改修・断熱改修を含め、内装をすべて一新するフルリフォームになります。よい機会なので、現場の…

まずは内装ついて

 まずは内装について考えていきます。内装材は、部屋の内側から見えてくる部分になり、仕上げ材などとも呼ばれます。床・壁・天井それぞれについて、部屋ごとに適材適所に選択していくこととなります。選んでいくときのポイントとしては、それぞれの内装材のメリット・デメリットをよく理解して、何を優先して考えるかを自分の中で決めておくことです。考慮しておきたいポイントとしては、デザイン性(素材感)、価格、水濡れ・汚れに強いか、メンテナンス・更新の容易さの4点があげられます。

 内装材は、部屋内に見えてくるもののため、部屋の印象を大きく決定するものとなります。そのため、基本的には好みに合うものを選ぶのが良いと思います。どのような内装材でも材料と施工する職人を確保できれば施工することが可能です。とは言いつつも、基本的には工務店ごとによく使う内装材というものがあり、それが工務店ごとの独自色となっています。エコロジーライフ花+直井建築工房の場合は、お施主様のご希望を伺った上で、いくつかよく使う内装材の中から部屋ごとにご提案し、お打ち合わせの上、決定します。もちろんその中で、お施主様の方からどうしても使いたいという内装材があれば、施工可能か検討していきます。一方で、弊社の場合、自然素材を使った家づくりを信条としているため、お勧めできないと考えているビニールクロスやクッションフロア、化粧合板のご提案はしておりません。弊社で使用している具体的な内装材については、別の機会にご紹介できればと思っております。

▲実験前
▲お湯の入った湯呑を入れて一定時間経過後。
内部の湿度に差が出ている。

 内装工事だけの予算感としては、仕上げ材の材料単価と施工単価に対して、面積がどれくらいあるかで金額が決まってくるので比較的わかりやすく、予算に合わせて増減しやすい部分になります。間取りや階高もよりますが、約30坪(おそよ100㎡)の2階建ての場合、壁・天井の面積が200~300 ㎡程度となります。例えば、材料単価が100円増えれば、2~3万程度増える、と考えていけばいいでしょう。ただ、材料によっては提供可能な最低数量が決まっていたりするため小面積で多種の材料を使用すると割高になっていきます。併せて、工事業者が多種にわたるような内装材の選び方をすると内装工事の費用は一般的に割高になっていきます。

工事費用を増加させる内装下地について

 内装を新しくしたいときの費用として、仕上げ材のことだけ考えていればいいのかというと残念ながらそれだけで済まないことがあります。それが下地のやり直しの有無です。下地のやり直しが発生する場合は、一気に費用が増加していきます。下地のやり直しに関しては、前回の記事の中でも触れましたが、耐震補強や断熱改修を行う場合は下地のやり直しの可能性が高くなるため、大規模な工事になっていきます。それ以外に、下地のやり直しが発生するパターンをご紹介します。

腐れ・シロアリ被害が疑われる場合

 腐れやシロアリ被害が疑われる場合は、被害のある部材を交換していく必要があるため下地からやり直しになる可能性が高くなります。わかりやすい症状としては、床が沈んだり、傾いていることなどがあげられます。壁や天井では、雨漏れを長期間放置した場合に腐れを起こすので雨染みの有無や叩いたり、少し強く押したときに凹むかどうかで確認がある程度可能です。また、床下点検口や天井点検口などを覗いて、様子を確認することも下地の状態をチェックするのに有効です。

シロアリ被害
▲シロアリ被害を受けた柱。危険なため被害を受けた部材は交換する必要がある。

和室から洋室へと変える場合

 和室から洋室へと変更する場合も下地のやり直しが発生します。和室の場合、基本的に床は畳になっているかと思います。畳の種類にもよりますが、通常フローリングの厚さよりも畳の方が厚いため、他の部屋や廊下と床の高さ(レベル)を合わせるために下地からやり直す必要が出てきます。また、壁については真壁づくりとなっており、洋室の大壁づくりとは異なります。真壁づくりとは、簡単に言えば柱が見えている壁の作り方です。洋室は基本的に柱が見えない大壁づくりになるため壁下地は新たに作り替える必要があります。床のレベル調整と真壁から大壁への変更は、工事内容(耐震補強や断熱改修の有無など)や現状の下地の状況にもよりますが、上から新たな下地をこさえる方法が取れれば、解体費用を抑えることも可能です。ただし、この場合は隠れている部分の材料の全体的なチェックが不可能なため隠れた部分の傷み具合を見逃すデメリットにもなります。

▲リフォーム前。一般的な真壁づくりの和室
▲リフォーム後。奥の窓と押入を辞めて部屋を広く使えるようにした。

最終的には壊すまでわからない

 下地と一概にいっても、床・壁・天井それぞれいくつかの段階に分かれます。例えば、フローリングの床であれば土台・大引と呼ばれる部材の上に根太を敷き、その上に荒床、フローリングを載せていきます。表面からたたいたり、床下や天井裏を覗ける場所から覗いてみて、下地の傷み具合を確認しようとしますが、どの段階までさかのぼっていく必要があるかの判断は、最終的に壊してみるまで分からないことが多いです。場合によっては、想定していないところで下地のやり直しが発生することもままあり、リフォームで追加工事が発生することが多い理由となっています。工務店の責任として、可能性のあるリスクについてはできる限り契約までにご説明しておりますが、最終的な判断については解体終了後に改めて追加工事の有無と併せてご説明するようにしています。

▲在来の浴室。見た目にはよく手入れされてきれいです。
▲腰壁のタイル解体後。この段階でも下地は比較的きれいでした。
▲床のタイル撤去後。土台(基礎の立ち上がりの上に載る部材)が腐食してなくなっている

まとめ

 記事が長くなってきたので、設備機器の計画については次回にしたいと思います。今回は、内装工事とその下地に着目してリフォーム計画時のポイントをご説明しました。ついつい、見えている部分だけで考えがちになってしまうのですが、家を長く持たせるためには下地の状態も重要です。どんなに表面をきれいにしても下地がダメであれば、すぐに表面もダメになってしまいます。残念ながら下地の傷み具合は、壊してみなければわからないところがあるためリフォームの計画は予算に余裕を持たせて計画しておくことが大事になってきます。