シンプルでスタンダードな木の家です。家に帰ると、大黒柱がリビングを守っている、そんな安心感のある家です。材の選び方、丁寧な施工、ちょっとした工夫。住む人の日常にさりげなく浸透する「つくり手の想い」をご紹介しましょう。
竣工:2012年9月
場所:千葉県
延床面積:104.1㎡
設計:直井建築工房
門はあえてもうけず、庭と道路との境に郵便箱を取り付けた木の間仕切りを立てました。庭の緑が育ってくれば、家の前のグリーン、無垢の木の玄関扉や庇が、地域に潤いのある景観を作り出してくれることでしょう。
玄関。式台には無垢の木の厚板を。上がり框には、節目のない、きれいな木目の木を選びました。キッチンに居ても、玄関の気配が分かりやすくするために、正面に格子ガラスをはめました。
玄関を左に入ると、リビングです。玄関には下駄箱はありますがコート掛けはないので、リビングに入ってすぐのところに、木の家にふさわしい材質のフックをつけました。こうした工夫をあらかじめてしておくことで、出かける時にここで上着を脱ぎ着したり、通園カバンをかけておいたり、脱ぎっぱなし、置きっぱなしを防げます。建主さんとの細かな打合せから、生活パターンに合った工夫をするのも、エコ花の得意とするところです。
リビングにはいつも、大黒柱が見えています。こうした木にしっかりと支えられている構造が目に見えていることは、家族の気持ちにも安心感ややすらぎをもたらしてくれます。
リビングの奥から玄関につながる扉を見たところ。白い天井に、がっしりとした梁が整然と並んでいます。
無垢の床板は、合板のフローリング材とちがって、足の裏のあたりの感触がやわらかく、あたたかく、ヒヤッとしたりジメっとしたりしないのが特徴です。エコ花では、合板は一切使いません。
2階にあがりきったところ。この45度でピタっと木と木が合う仕上げ方は「留(とめ)」と言います。木の柄合わせも考えた、大工の丁寧な仕事の跡を、日々目にすることができます。
2階は天井を張らず、小屋裏いっぱいまでを生活空間をして使っています。小屋裏も白い漆喰仕上げとして、明るい印象をもたせました。
洗面所には、大工つくりつけの洗面台を置きました。壁の板の張り方も、水をイメージさせるような木目を使いました。あえて飾るわけではなく、木の選び方でその部屋の表情を演出することができるのです。こうしたことは、図面には書けないこと。大工の「こんな風に見せてやろう!」という気持ちのあらわれです。
この家で育つ子ども達が、自然で健やかな暮らしを楽しめますように!と願っています。