影からひっそり守ります

「杉の大黒柱のある家」の小屋裏。

上棟のときの幣束、矢羽(破魔矢)、祝詞とお札を納めた箱、鼻緒の切れたわらじなどが祀ってあります。この場所は建てものが完成すると見えなくなりますが、影から永久に杉の大黒柱のある家の安全を守ってくれます。
上棟式は、家を鎮守している神様にたいして棟上げまで工事が終了したことに感謝し、無事建てものが完成することを祈願する儀式。いちばん高い棟木に幣束(へいそく・へいぐし)を立て、矢羽を飾り上棟式のはじまりとします。そこから棟梁が祝詞をあげて、四方の柱を塩、お神酒、米で清めて工事の無事完了を祈る、というのが一般的な上棟式の流れのようです。

なぜ鼻緒のきれたわらじがあるかと言うと・・・。
上棟式で棟梁が祝詞をあげる前に、木材を山で選定した「元山(もとやま)」が、わらじを履いて与岐を担いで2階もしくは棟に登ります。そこでお役目(=選定した木材がすべて無事に組み上げる)を終えたしるしとして、わらじの鼻緒を切ります。そのわらじを祀ってあるというわけです。

上棟式は地方によってさまざまなものがあるようです。
以前宮城の棟梁にお願いしたときは矢羽を2本交差させて車型に飾り、祝詞やお札を納める箱も木箱の豪華なものでした。全体的に飾りつけがにぎやかな印象。↓

今回の杉の大黒柱のある家は福島県の棟梁なので、矢羽は1本をすっと立てて、五色の吹流しに紙の雛箱をくくりつけて飾りました。

そのほか同じ地方でも棟梁の意向でいろんなやり方があるようで、これが正解!のようなかたちはないみたいです。
これから完成する家を永久に守ってくれるよう神様に心からお願いをすることが、きっといちばん大切なんでしょうね。
tama